和歌山の離婚の方法・手続きについて

離婚するにはどのような手続きがあるのか

 離婚の方法としては、1.協議離婚、2.調停離婚、3.審判離婚、4.裁判離婚、があります。

 以下、それぞれの特徴やメリット・デメリットを説明します。

1.協議離婚とは

 協議離婚とは、当事者(夫婦)の話し合いで離婚の合意をすることです。

 離婚届に、当事者(夫婦)双方および証人が署名押印(認印可)して、役所に提出するだけで手続は終わります。

 なお、未成年の子がいる場合、親権者をどちらにするのかも記載しなければなりません。

 提出先は、住所地の役所でもいいですが、その役所が本籍地以外の役所である場合、戸籍謄本が必要です。

 郵送での提出も可能です。本籍地の役所に郵送で提出すると戸籍謄本が不要になるので便利です。ただし、離婚日は、発送日ではなく、役所が受理した日になりますのでご注意ください。

 協議離婚の場合、戸籍上の記載は、「協議離婚」となります。

 また、協議離婚は、上記のとおり、離婚届に署名押印して提出するだけで離婚が成立してしまいますので、たとえば、一方が離婚の意思がないにも関わらず、他方が勝手に離婚届を作成して提出した場合や、一方が離婚届に署名捺印して他方に渡したものの、その後、気が変わって離婚の意思がなくなったにもかかわらず、他方がそれを無視して離婚届を提出した場合に、役所での離婚の手続が済んでしまうというおそれがあります。

 このような場合、離婚を取り消すには、離婚の無効を家庭裁判所で認定してもらう必要があり、大変な労力がかかることがあります。

 ですので、このような、自己の意思に反する離婚届が受理されないようにするため、不受理申出制度というものがあります。

 不受理申出書は、どの役所にも提出できますが、本籍地の役所で受理された時点で効力が発生するので、郵送申請も可能ですので、本籍地の役所に提出するのがいいでしょう。

 一旦、不受理申出が受理されると、不受理申出の申出者が取下書を提出しない限り、不受理申出の効果がずっと続くことになります。

※協議離婚のメリット

 手続きが簡単であること

 費用もかからないこと

※協議離婚のデメリット

 感情的になり冷静な話し合いができないことがあること

 話がまとまらない可能性があること

 後日の蒸し返しの可能性があること

 将来、約束が守られない可能性があること

2.調停離婚とは

 調停離婚とは、家庭裁判所において第三者の立会いのもとで当事者(夫婦)が話し合い、離婚の合意をすることです。

 夫婦の一方が、他方の居住地を管轄する家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることによって、離婚調停が開始されます。

 なお、申立てられた側には調停に応じる義務はないので、調停での話し合いをしたくなければ、家庭裁判所からの呼出しに応じる必要はありません。

※調停離婚のメリット

 第三者(調停委員など)が意見を述べたり、当事者を説得することにより、話し合いが進む可能性が高いこと

 第三者(調停委員など)が間に入るため、感情的な相手とも冷静な話し合いができること

 離婚以外の話し合うべき事項についても漏れなく話し合いができること

 自分で申立てすれば、費用は数千円で済むこと

 調停調書によって約束した事が将来破られにくくなること

 婚姻費、養育費、慰謝料といった金銭の支払いについて、合意すれば、将来、強制執行ができること

※調停離婚のデメリット

 相手が調停に応じなければ、調停は終わってしまうこと

 あくまで話し合いなので、最終的に合意できる保障はないこと

 期日が月に1回程度であるので、長期化するおそれがあること

3.審判離婚

 審判離婚とは、当事者(夫婦)間で、離婚自体は合意できているものの、その他の事項(養育費、財産分与など)でわずかな意見の相違があるために、調停で合意できなかったような場合に、家庭裁判所が職権で離婚すべきとの審判を下すことによって離婚することです。

 審判離婚は、当事者(夫婦)が申立てるのではなく、家庭裁判所が、調停での話し合いの状況から判断して、職権で審判を行うというものです。

4.裁判離婚

 裁判離婚とは、家庭裁判所が、法廷で当事者(夫婦)双方の言い分を聞き、その結果、離婚すべきとの判決を下すことによって離婚することです。

 離婚の協議や調停が不成立に終わった場合に、当事者(夫婦)が、家庭裁判所に離婚の訴えを申し立てることによって離婚裁判が開始します。

 なお、離婚の訴えを申立てるには、訴え以前に離婚調停を経ていなければならないという決まりがあります。

※裁判離婚のメリット

 離婚を認めるか否かについて、裁判所に結論を出してもらえること

 相手と話し合いをする必要はないこと

※裁判離婚のデメリット

 弁護士に頼まないと手続きが困難で、弁護士費用がかかること

 離婚原因がない場合には、裁判所は離婚をすべきとの判決を下せないこと

 非公開ではあるものの、当事者自身が証言しなければならないこともあること

 結論が出るまでに時間がかかる可能性があること

以 上

なかむら法律事務所・司法書士事務所(和歌山市)

弁護士・司法書士 中村和也