和歌山の不倫慰謝料について(5)損害をどこまで請求できるか

損害をどこまで請求できるか(各損害項目)

 不倫慰謝料を請求する際、慰謝料(精神的損害)以外の、不倫をされた夫(または妻)が支出した、調査費用、弁護士費用、治療費などといった損害について、どこまで請求できるかが問題となります。

 まず、訴訟以外、つまり交渉で請求する場合には、相手に何を請求するかは請求者の自由ですので、これら損害の全額を請求すること自体は可能ですし、相手が応じれば合意も可能です。もっとも、相手が応じないことも多く、これら損害を全額支払わせるのは困難といえます。

 次に、訴訟した場合に認められるかについて、以下、説明します。

1.弁護士費用

  慰謝料請求のために依頼した弁護士に支払った費用について、訴訟により請求する場合には、慰謝料請求額の10%程度を弁護士費用として別途請求でき、裁判所も認めてくれます。もっとも、実際に弁護士に支払った額よりは少額になることが多いです。

2.調査費用

  不倫の証拠をつかむために依頼した、興信所や探偵事務所などの調査会社に支払った費用について、訴訟により請求する場合には、不貞行為との因果関係(必要性、相当性)があれば認められます。

  つまり、その調査をしなければ不貞行為を立証することができなかった、あるいは、その調査費用を支出せざるを得なかった、という事情があれば、因果関係があると認められます。

3.治療費

  不倫が発覚したことによる精神的ショックによって、肉体的精神的な不調や、うつ病などの精神病に罹患し、通院、投薬、入院などによって病院等に支払った費用について、訴訟により請求する場合には、不貞行為との因果関係(必要性、相当性)があれば認められます。

  もっとも、他の事情による影響も一因となっていることも十分あり得え、立証が難しく、裁判所に認めてもらうことは一般的には困難といえます。

  よって、独立した損害項目としてではなく、慰謝料額算定の一事情して考慮されるだけのことが多いです。

4.休業損害

  不倫が発覚したことによる精神的ショックによって、仕事を休まざるを得なくなった、あるいは、退職せざるを得なくなった、ことにより、収入が減ったことの損害について、訴訟により請求する場合には、不貞行為との因果関係(必要性、相当性)があれば認められます。。

  もっとも、他の事情による影響も一因となっていることも十分あり得え、立証が難しく、裁判所に認めてもらうことは一般的には困難といえます。

  よって、独立した損害項目としてではなく、慰謝料額算定の一事情して考慮されるだけのことが多いです。 

以 上

なかむら法律事務所・司法書士事務所(和歌山市)

弁護士・司法書士 中村和也