和歌山の不倫慰謝料について(1)不貞行為とはなにか
不貞行為とはなにか
1.慰謝料請求の対象となる不貞行為とは
不貞行為(不倫ともいいます。)をしたことに基づいて、夫(妻)が妻(夫)の不倫相手に対して損害賠償(慰謝料)請求を請求するためには、その不貞行為が、不法行為(民法709条)にあたる必要があります。
ですので、いかなる不貞行為が不法行為になるのかが問題となります。
この点、男女間のすべての行為が不法行為たる「不貞行為」になるわけではありません。
典型的な行為としては、性行為や肉体関係があります。これらは当然、「不貞行為」にあたります。
もっとも、性行為や肉体関係を伴わない行為であったとしても、婚姻共同生活を破綻に至らせる可能性のある異性との交流や接触も対象となりえます。
以下のようなものが考えられます。
2.キスをすること、一緒に風呂に入ること、同棲すること
これらのような行為は、性交類似行為として、婚姻共同生活を破綻に至らせる可能性のある異性との交流や接触にあたりますので、「不貞行為」にあたります。
3.手をつないで歩くこと
手をつなぐ行為自体は、通常、「不貞行為」にはあたらないと考えられます。
もっとも、手をつないでいる状況から不貞関係の存在を推認させる場合もある、という意味において重要な行為であると考えられます。
4.愛情表現を含むメールを送信すること
「好きだよ」「会いたい」「愛してる」などの親密な関係をうかがわせる内容のメールを相手とやりとりする行為は、他方配偶者がこれを読んだ場合、婚姻生活の平穏を害する行為となりえますので、婚姻共同生活を破綻に至らせる可能性のある異性との交流や接触、にあたるとして「不貞行為」にあたりうると考えられます。
もっとも、「不貞行為」にあたるとしても、慰謝料の額は低額になるかと思われます。
また、親密なメールのやりとりが不貞関係の存在を推認させる場合もある、という意味において重要な行為であると考えられます。
5.二人きりで会ったり、日常の会話やメールをすること
二人きりで会ったり、食事をしたり、日常の会話やメールをするといったような行為は、通常、婚姻生活の平穏を害する可能性は大きくなく、「不貞行為」にはあたらないと思われます。
もっとも、過去に不倫をした相手との間でこれらの行為をした、といった事情があれば、これらの行為自体が「不貞行為」にあたる場合もあると考えられます。
6.子を妊娠・出産することやその子の認知請求をすること
妊娠・出産する行為自体は、避妊が容易にできる現在においては「不貞行為」にあたりえると考えられます。
もっとも、妊娠・出産する行為自体は、不貞行為全体の一部であるので、「不貞行為」の一部を構成するものとして慰謝料の額に反映されると思われます。
一方、夫に対し認知請求をすることは、いったん出生した以上、父に対して認知を求めることは子の権利であることから、「不貞行為」にあたらないと考えられます。
以 上
なかむら法律事務所・司法書士事務所(和歌山市)
弁護士・司法書士 中村和也