和歌山の別居問題(1)約束した面会交流がなされないときの対処

約束した面会交流がなされないときの対処

 家庭裁判所での調停や審判で面会交流について決められたとしても、その後、実際に子の監護をしている親が、他方の親に対し、面会交流をさせなかったり、決められた面会交流の方法や場所を守らない、といった事態が生じることがあります。

 このように調停や審判で決められた面会交流を守らない場合の対処方法としては、(1)履行勧告、(2)間接強制、(3)再調停、(4)親権者(監護者)変更、(5)損害賠償請求、などが考えられます。以下、順に説明します。

(1)履行勧告について

 履行勧告とは、家庭裁判所にその申出をすると、家庭裁判所調査官等が面会交流の状況を調査し、必要に応じて、相手に対し、決められた面会交流を行うよう勧告してくれるというものです。

 申出に費用はかかりません。

 もっとも、履行勧告には強制力はありませんので、相手が勧告に従わなければ、それ以上のことはできません。

(2)間接強制について

 間接強制とは、家庭裁判所が相手に対し、決められた面会交流を守るよう命令するとともに、もし命令に従わなかった場合には金銭の支払うこと(例えば1回あたり〇万円など)を命令する、というものです。

 これにより相手に対し心理的な強制をして、決められた面会交流を守らせようとする制度です。

 もっとも、間接強制を利用するためには、面会交流を定めた調停調書(調停での合意書)の中で、面会交流において相手がなすべき行為が明確かつ具体的に定められている必要があります。

 よって、調停の際には、将来、間接強制が利用できるような調停調書となるよう、きちんと考えて合意する必要があります。

(3)再調停について

 再調停とは、決められた面会交流が守られないことを理由に、再度、面会交流についての調停を申立てるというものです。

(4)親権者(監護者)変更

 親権者(監護者)変更とは、面会交流を守らないような親は、親権者あるいは監護者として適切ではないということを理由に、家庭裁判所に対し、親権者(監護者)を相手から申立人に変更すべき、との申立てをすることです。

 親権者や監護者が変更されれば、申立人が子を監護できるようになります。

 面会交流を守らないという理由だけで親権者(監護者)変更が認められることは一般的には難しいですが、監護が不適切であるとの他の事情があれば、監護者の変更の判断がなされることもあると思われます。

(5)損害賠償請求

 損害賠償請求とは、面会交流を守らないことが不法行為にあたるとして金銭的な損害賠償を求めるというものです。

 もっとも、面会交流の解決にとって実効性があるかは疑問がありますし、金銭で賠償を受けることが子の利益につながるかという点からも疑問です。

以 上

なかむら法律事務所・司法書士事務所(和歌山市)

弁護士・司法書士 中村和也