和歌山の個人再生(住宅ローン特約付き)の概要

 個人再生とは、簡単にいうと、住宅ローン以外の借金を最大で5分の1に圧縮して支払うことで借金を整理する、裁判所の手続きのことです。

 住宅を守りながら、借金を圧縮できるので、住宅ローンは払えるが他の借金は払いきれないという方の家計の立て直し手段としてよく利用されています。

目次

1.個人再生手続き(住宅ローン特約付き)の流れ

2.個人再生の効果

3.個人再生の注意点

1.個人再生手続き(住宅ローン特約付き)の流れ

(1)債権者へ受任通知の送付

 弁護士が代理人となったことを通知する書面(受任通知)を住宅ローン金融機関を除く各債権者に送付します。

 受任通知を送った時点で、以降の債権者からの請求をストップでき、返済もする必要がなくなります

 もちろん、新たに借入もできなくなります。

 住宅ローンについては、ローン契約どおりにそのまま支払っていきます。

(2)申立てに向けての準備

 申立てに必要な書類(借金の明細書、財産や収入が分かる書類、破産に至った経緯が分かる書類など)を収集したり作成したりします。

 借金の返済がストップしているので、申立に必要な費用(裁判所予納金2~3万円や弁護士費用)を月々積み立てます。

 なお、和歌山地方裁判所では、事案に応じて、再生委員が選任される場合があり、その場合には再生委員の報酬として20万円を申立の際に予納する必要があります。

(3)個人再生申立

 書類が整い、申立費用が用意できたら、弁護士が管轄の和歌山地方裁判所(本庁、御坊支部、田辺支部、新宮支部)に個人再生の申立て(住宅ローン特約付き)をします。

 申立をする裁判所は、申立人の住所地を基準として管轄が決まっています。

 具体的な管轄は以下のとおりです。

 ○和歌山地方裁判所本庁…和歌山市、海南市、岩出市、紀の川市、海草郡(紀美野町)、有田市,有田郡(湯浅町 広川町 有田川町)、橋本市、伊都郡(かつらぎ町、九度山町,高野町) ※一部地域につき和歌山家庭裁判所妙寺出張所に申立することも可。

 ○和歌山地方裁判所御坊支部…御坊市、日高郡(美浜町、日高町、由良町、印南町、日高川町)

 ○和歌山地方裁判所田辺支部…田辺市(旧田辺市、旧日高郡龍神村、旧西牟婁郡大塔村、旧西牟婁郡中辺路町) 、西牟婁郡(上富田町、白浜町、すさみ町)、日高郡(みなべ町)、東牟婁郡(串本町,古座川町)

 ○和歌山地方裁判所新宮支部…新宮市、田辺市(旧東牟婁郡本宮町)、東牟婁郡(那智勝浦町、太地町、北山村)

(4)個人再生手続開始決定

 裁判所が個人再生手続開始決定を出します。

  個人再生開始決定時点の保有財産が、後で説明する清算価値保障原則の対象になります。

(5)再生計画案(借金の減免案)の提出

 住宅ローンを除く借金について、下記の最低弁済基準の金額を完済できれば、残りの借金は免除してください、という内容の再生計画案を提出します。

最低弁済基準は、

①住宅ローンを除く借金の額が100万円~500万円の場合…100万円

②住宅ローンを除く借金の額が500万円~1500万円の場合…その金額の5分の1の額

です。

 例えば、住宅ローンを除く借金が300万円ならば弁済額は100万円、1000万円ならば200万円を支払えばよいこととなります。

 分割返済期間は、原則3年までで、例外的に特別な事情があれば5年まで延長できます。

 ただし、次に説明する清算価値保障原則に反する再生計画案を策定することはできません。つまり、個人再生開始決定時に保有している財産の価値以下に最低弁済額を定めることはできません。

(6)清算価値保障原則について

 清算価値保障原則とは、個人再生開始決定時に保有している財産の価値(清算価値)以上の金額を最低弁済額としなければならないというものです。

保有財産の価値(清算価値) ≦ 最低弁済額

 例えば、 住宅ローンを除く借金の額が500万円であった場合、前述の最低弁済基準に照らせば、最低弁済額として100万円とすることができるように思えますが、加えて、住宅の時価相場から住宅ローン残高を差し引くと200万円のプラスになる(住宅を売却したら200万円手元に残る)といった事情もあるとすれば、200万円の財産を保有しているのと同じこととなるため、最低弁済額を200万円としなければならなくなります。

 ですので、住宅ローンの残高よりも住宅売却額の方が多くなりそうな場合、株式や保険返戻金などといった高額な財産がある場合には、この清算価値保障原則に注意をしなければなりません。

各財産の保有財産への算入方法は下記のとおりです。

 ①現金、普通預金、通常貯金…合計99万円までは清算価値に算入しなくてもよい。

 ②保険(生命、疾病傷害、火災、損害、自動車など)の解約返戻金…全額を清算価値に算入する。

 ③退職金…現在、退職していない場合は、再生手続開始決定時に退職したと仮定し、その時点で支払われると見込まれる額の8分の1を清算価値に算入する。

 ④自動車…時価評価額を清算価値に算入する。なお、新車時の価格が300万円未満で登録後7年以上(軽は5年以上)経っている自動車であれば評価0円とみなす。

 ⑤住宅ローン付不動産…住宅の時価評価額から住宅ローンの残高を差し引いた額がプラスとなる場合には、そのプラス額を清算価値に算入する。

(7)再生計画案の決議と認可

 再生計画案の決議は、住宅ローン金融機関を除く債権者について、債権者の過半数かつ債権総額の2分の1以上の同意があれば可決されます。

 再生計画案の認可は、不認可事由が認められない限り、認可決定がなされます。

 不認可事由としては、再生手続きや再生計画が法律に違反している場合や再生計画がきちんと守られる見込みがない場合などであり、実務上はあまり問題となることはありません。

 ~順調にいけば、申立から6か月ほどで認可決定が出ます

(8)再生計画の履行

 再生計画に従って、最低弁済額に減免された借金を3~5年間かけて支払っていきます。

 返済途中で再生計画どおりに支払っていくことが困難になった場合、再生計画の変更の申立てや自己破産の申立てをすることができます。

 また、再生計画の4分の3の返済が済んでいるのであれば、場合により、残りの返済を免除してもらう「ハードシップ免責」の申立てを行うことも可能です。

2.個人再生の効果

借金の返済義務の変更

 認可決定がなされると、再生計画の定めに従って、借金を返済する義務が最低弁済額まで減免されます。

借金の免責

 認可決定がなされると、再生計画で定められた額を除いて、借金を返済する責任が消滅します。

3.個人再生の注意点

信用情報への登録

 信用情報機関に自己破産をした情報が登録される(いわゆるブラックリスト)ため、再生計画に従って完済してから5年間はクレジットカードやキャッシング、ローンの利用が困難になります

 もっとも、個人再生手続きの前から返済を滞納中であったり、ゆくゆくは返済不能になるような状態であれば、いずれ信用情報に登録されますので、個人再生をしてもしなくとも同じ事ともいえます。

非免責債権

 免責決定がなされても、非免責債権にあたるものについては支払義務が消滅しません。

 非免責債権には以下のようなものがあります。

  • 税金
  • 罰金
  • 犯罪行為や重過失の交通事故に基づく損害賠償金
  • 養育費や別居中の婚姻費用
  • わざと債権者名簿に記載しなかった債権

 非免責債権については、再生計画が認可された後も、そのまま債権者から請求され、支払う必要があることになります。